「まずは青女房の所でお菓子もらおーぜ」
「なんや、青女房のやつこっちの神修でも店出しとるんか」
みんなは揃ってぞろぞろ歩き出す。
「瓏も来れたら良かったのにね」
来光くんが屋台を物色しながら残念そうに呟く。
瓏くんは急用ができたらしく夜明け頃に神修を発ったらしい。朝食の席で信乃くんから謝罪の伝言を聞いた。
開門祭が催されている期間は学校が休校になる。だから昨日の夜に、休みの間は何をして遊ぶか話し合ったばかりだった。
「にしてもアイツ、本当に何してんだ? 休みの日はぜってぇ出かけてるしよぉ」
「聞いても頑なに話さないしね」
「俺に聞いても無駄やで。前にも言うた通りアイツが自分から言わんなら俺もなんも言わん」
信乃くんも頑なに話してくれないので謎は深まるばかり。
みんなは影で好き勝手憶測してその結果────瓏くんには将来を誓い合った異種族の許嫁がいて両親には結婚を反対されているも、二人で暮らすために休みの日にアルバイトでお金を稼ぎ、こっそり逢瀬を重ねている────ことになった。
年頃の男の子って想像力が豊かだ。