それから禰宜とは何かを話したような気もするけれど何と答えたのかはあまり覚えていない。
気がつけば社務所を出て、雨の降る中寮へ続く階段を登っていた。
えっと、部屋に戻ったらまず宿題して。今日の稽古で注意されたところもノートにまとめなきゃ。瑞祥さんが稽古の動画を撮影してたから、それも貰いに行って。昨日と同じところを注意されたからそこの練習もして。
いつご飯食べよう。雨にも濡れたしお風呂入らなきゃ。でも食堂行きたくないな。お風呂場も洗面所も誰かいるだろうし。
鉛がついたみたいに体が重い。風邪を引いてしまうし、早く部屋に戻らないといけないのに思うように体が進まない。
明かりのついた寮を見上げた。顔中に大粒の雨が降りかかる。
気が付けば寮に背を向けて、階段を駆け下りていた。