「瑞祥さん、ここの振り付けの所見てもらえますか?」

「お? やる気満々だな巫寿!」


皆から認めて貰えるように。


「聖仁さん、今日のお昼からお時間ありますか? 昨日の稽古で注意された所、直ってるかどうか見てほしくて」

「それは全然構わないんだけど……休みの日は身体を休めるのも大事だよ」


私が努力すれば。


「巫寿は今日も自主練?」

「なんだよ〜。たまには亀釣りに行こうぜ」

「巫寿ちゃん大丈夫? 無理してない?」


努力して、努力して、努力して。

そうすればきっと皆から認められる。そしたらきっと前みたいに戻れる。

大丈夫、頑張れば。私が頑張れば。





「────……い。おい、巫寿。巫寿ッ!」




強く肩を揺すられてハッと我に返った。

目の前には恵衣くんが立っていて相変わらずの仏頂面で私を見下ろしている。


あれ、なんで恵衣くんが?

私何してたんだっけ。

ああ、そうだ。今日は楽人の部との神話舞の合同稽古だった。

稽古中にぼんやりするなんてダメだな私。