その日を境に、またみんなの関心は私に向くようになった。
明らかに事実無根の噂まで出回り始めて、怒った嘉正くんたちが薫先生に相談しようと提案してくれた。
けれど事の発端である「私が直階一級を取ったこと」は動かぬ事実で、薫先生に相談したところで皆が認めてくれなければどうにもならない。
それに薫先生は一学期の報告祭の日にこう言っていた。
"これから結構キツいと思う。どうしようもなくなる前に、俺でもクラスメイトでもお兄ちゃんでも、誰でもいいから頼って"
恐らく薫先生はこうなることが分かっていたんじゃないだろうか。
そして今の状況になった時に、どうにもすることが出来ないから周りを頼るように言ったんだろう。
幸いなことに、ゴールデンウィーク前の頃の方がもっと状況は酷かったので、前みたいに体調を崩すことはなかった。それに連日の神話舞の稽古や誉さんとの授力の稽古で忙しかったおかげで他のことを考える余裕もなかった。
自分の力じゃどうにもできないなら、みんなに認めて貰えるように頑張ればいい。
神話舞だって私の実力を評価してくれたから選ばれたんだって、みんながそう思ってくれるように。