乾いた空気にくすくすと誰かの笑い声が振動する。

床に着いた手と膝にじんわりと痛みが広がっていく。

これまで無視されたり嫌味を影から言われることはあったけれど、直接こうして悪意をぶつけられることは無かった。

驚きと困惑と、それを上回る悲しさに唇が震えた。


恥ずかしい、逃げ出したい。

私はそんなに悪いことをしたんだろうか。

悔しい、腹が立つ。

どうしてこんなに悪意に晒されなければいけないんだろう。


床の上で手を握りしめた。その時。




「惨めったらしくうつむくのはやめろ」




顔の前にすっと手が差し出された。