「続いて舞手の部から。高等部三年、榊聖仁」


聖仁さんの名前が呼ばれた。間を置かずに私の名前も読み上げられる。

最悪だ、と思いながら立ち上がる。

立ち上がったその瞬間、突き刺さるような視線を身体中に感じた。喉が渇いた時のようにひりつく感じがして、その視線が私を歓迎していないことを物語った。

最近は神話舞や誉さんとの稽古で忙しく神楽部の活動にも参加していなかったし、異文化理解学習が始まってからはみんなの関心もそちらに向いていた。

露骨な態度を取られることはかなり減ったと思っていたけど、やはりまだ噂は消えないらしい。

嫌な動悸がする。落ち着けるように息を吐いた。


明らかに数が減ったパラパラとした拍手を受けながら舞台へ進む。


「どうせまたズルでもしたんだろ」

「男たらしなんでしょ? 禰宜におねだりでもしたんじゃない?」

「信じらんない」


静かな室内ではひそめられた声もよく拾う。

唇を噛み締める。顔を上げていられなくなって俯いたその時、視線の先にすっと足が差し出された。

目を見開く。避けるよりも先に自分の体が進んで、その足に躓いた。バタンと音を立ててその場に膝を着いた。幸いなことにちゃんと前に手が出て、派手に転ぶことはなかった。

恐る恐る顔を上げた。中等部の男の子と目が合う。 悪意に満ちた目ではなく、むしろ正義感に満ちた目で私を見下ろす。