「眞奉?」


呼びかけてみるも返事はなく、首を傾げた。


「眞奉って誰のこと?」


不思議そうな顔をしたお兄ちゃん。


「禄輪さんから借りてる十二神使の騰蛇だよ。元からあんまり表に出てくる子ではないんだけど、そういえば最近出てきてないなって」


はァ!?とお兄ちゃんが素っ頓狂な声を上げた。


「十二神使を使役してる!? 巫寿が!?」

「あとでちゃんと説明するから……」


お兄ちゃんをそう宥めて、一度心を落ち着けると今度は頭の中で名前を呼んだ。


────眞奉? 出てこられる?


やはり返事はない。


「そばにいないみたいです」

「そばにいない? 十二神使が主の傍を離れることなんて────」


何かに気が付いたのか言葉をとめて、険しい表情を浮かべる。

何かまずいことが起きているんだろうかと不安になる。


「今すぐかむくらの社へ行くぞ」


禄輪さんはそう言って立ち上がった。