「先見の明はどう足掻いても自分たちでどうこうできる力じゃないのよ」


誉さんの言葉に余計に困惑する。

いくら授力が口伝で親から子へ引き継がれるからと言って、その力の本質を神職が知らないはずがない。ましてやエリート集団の本庁の役員が知らないわけがない。

誉さんを紹介してもらったことでこうして私も先見の明について知ることができたわけだけれど、力の使い方を教えることができないなら誉さんじゃなくてもよかったはずだ。

本庁の役員はどうして私を誉さんに引き合わせたんだろう……?


「ガッカリしたかしら?」

「あ、いえ……! そういう訳ではなくてっ」


私が難しい顔をして黙り込んだのを見て、誉さんは申し訳なさそうな顔をした。

慌てて首を振って姿勢を正す。


「ただ先見の明が発動した時にできる限り長く未来を見れるようにする方法ならあるわ。と言っても、我流なんだけどね」

「我流? 誉さんが見つけたんですか?」

「ええ。審神者時代に暇つぶしがてら色々試したのよ」


暇つぶしがてら……。

誉さんは軽い口調で言ったけれど、それってなかなか凄いことなんじゃないだろうか。