そっと歩みよって声をかけた。
「何の話してるの?」
そう言いながらみんなの中心に置かれていた雑誌に目を落とす。
一番にピンク色のビキニを着た若いお姉さんが目に飛び込んできて「え?」と声を上げた。
そこからのみんなの動きは無駄がないほど素早かった。
ゴキブリでも潰す勢いでその雑誌を閉じた慶賀くんが泰紀くんに向かって放り投げた。キャッチした泰紀くんは隣に座る来光くんの前合わせを引っ張り懐にそれを突っ込む。
突っ込まれた来光くんは「何でだよ!」と激しく突っ込んだあとあわあわしてから背を丸めた。
「違うんだよ巫寿ちゃん! これは嘉正の私物で!」
「はっ倒すよ」
離れたところで傍観していた嘉正くんが間髪入れずににっこり笑ってそう言う。
ヒッと息を飲んだ来光くんは隣の泰紀くんと抱き合う。
「アハハッ、別に男子高校生がエロい姉ちゃんが載ってる雑誌の一つや二つ持っててもおかしないて」
子供たちを腕にぶら下がらせながら信乃くんがそう笑う。
「雑誌ー?」「ぼくもみたーい!」と騒ぐ子供たちを「お前らはまだ早いわ」と宥めて歩み寄ってくる。