「おっ、今年も選ばれたか問題児。最終日までぶっ倒れんなよ〜」
若い神職さまにそう声をかけられた。本日で十三人目となるその人に「あはは」と愛想笑いをうかべる。
自分は違うと思っていたけれど、いつの間にか私までも問題児認定されていたことへのショックが隠せない。
三馬鹿と言われた時の来光くんはこんな気持ちなんだろうか。
「ガハハッ、そうへこむなよ巫寿!」
「そうそう。それだけ色んな神職さまに目をかけてもらえてるってことだし」
先輩たちが私の肩を叩く。ガックリと項垂れた。
目をかける、と言うよりも要注意人物として警戒されているの間違いじゃないだろうか。
「ほら、そろそろ始まるよ」
そう言われてひとつ頷く。気を取り直して姿勢を正した。
これから今年の開門祭で奉納する神話舞の顔合わせだ。
放課後、富宇先生に呼ばれた私たち三人は去年と同様に神話舞の出演を打診された。去年は初日に事件が起きたせいで出演できず悔しい思いをしたので、二つ返事で引き受けた。
早速顔合わせがあって訪れた神楽殿で、その事件のことを知っている神職さまたちから「今年は事件に首を突っ込むなよ」やら「今年は最後まで気を失うなよ」やらとからかわれた。
もちろん去年一年で散々説教を食らって拳骨を頂戴してきたんだから私だって学んでいる。
もう二度とあんな無茶はしない。