あの後鬼市くんに問い詰められて、自分が今どんな立場にいるのかを洗いざらい話した。表情には出ないけれど声からとても心配してくれているんだと分かった。
「噂話してるやつ片っ端から土に植えようか?」と冗談まで言って私まで元気づけてくれたくらいだ。
冗談を……冗談だよね?
職員室へ向かう道中で首を傾げていると、廊下の反対側から歩いてくる聖仁さんと瑞祥さんが見えた。
「おーい巫寿!」と手を振られて小さく頭を下げる。小走りで駆け寄ると「相変わらず可愛いなコノヤロウ!」と瑞祥さんに抱きしめられた。
「瑞祥止めなさい。巫寿ちゃんにヘッドロック決めないの」
「ヘッドロックってなんだよ! どうみても後輩可愛がってんだろ!」
相変わらず仲が良い二人に頬を弛める。
「おふたりも職員室に用事ですか?」
「おう! 富宇先生に呼ばれてな!」
「えっ、私も富宇先生に呼ばれたんです」
「そうなのか? 巫寿がいるってことは説教ではないってことか!」
ふー、と息を吐いた瑞祥さんに苦笑いを浮べる。ここに来るまで説教されるかもしれないと疑うくらいには心当たりがあるんだ。
そんな瑞祥さんき聖仁さんがからからと笑った。
「まぁこの時期に富宇先生からの呼び出しと言ったら────」