「さぁて、あとはこれどうするかだね」
授業の終わりを知らせる鐘が鳴った後、薫先生は鬼市くんがすっぽ抜いた松の木を見下ろして唸り声を上げた。
言わんこっちゃない……。
鬼市くんが薫先生の隣に並ぶ。
「俺、植えましょうか?」
「ホント? できる?」
「はい、元はと言えば俺がやった事なんで。最後に土だけちゃんと戻せば何とか」
パチンと指を鳴らした薫先生が「それで行こう。証拠隠滅だ」と不敵に笑う。
証拠隠滅って。
「えっと、今日の日直さん誰だっけ?」
「あ、私です」
「そうだ巫寿だ。悪いけど土戻すの手伝ってもらっていい?」
はい、と頷き松の木を持ち上げる鬼市くんに駆け寄った。