「じゃあ次は俺らやな。(ろう)

「ん」


ひとつ頷いた瓏くんが懐から形代を取り出してフッと息を吹きかける。

ポンと軽い音を立てて大きく膨らんだ形代は瓏くんになにかを命じられてトコトコと練習場の奥へと走っていく。

一体何が始まるんだろう。


「まぁ妖狐って時点で大体検討はつくやろうけど」


そう言った信乃くんが手を前に差し出した次の瞬間、手のひらの上にボワッと青い火の玉が現れた。

おおっ、と皆がまた拍手を送る。


「妖狐の狐火(きつねび)ゆう火ぃを出す妖力を持っとる」


信乃くんがくるりと振り返って形代と向かい合った。そして野球選手のごとく大きく振りかぶって手のひらの狐火を投げる。

ヒュオッと音を立てて形代にぶつかった狐火は瞬く間に形代を包み込み隅々まで燃やした。


「すげー! かめはめ波みてぇじゃん!」

「他にどんな事できるんだ!?」


気を良くしたのか信乃くんが狐火を三つ出してジャグリングを始める。

みんな大盛り上がりで思わず苦笑いを浮かべた。


瓏くんが戻ってきて鬼市くんの隣に腰を下ろした。瓏くんも狐火を披露してくれるのかと思っていたのでちょっと残念だ。


「はいはーい、凄いけどそろそろ仕舞ってね。練習場は結界が貼ってあるから平気だけど、狐火ジャグリングは校舎ではやっちゃダメだよ」

「すみませーん」

「あはは、素直でよろしい。さて、次はうちの番だ。授力について説明できる人〜?」