「鬼市さんが私との婚約を断ってまで選んだ方だと聞いて、それはそれは優秀な神職候補なんだろうと思っていましたが……こんなに貧相でちんちくりんな人間だったなんてがっかりです。これならそちらの副部長さんの方がまだマシです」


ビシッと瑞祥さんを指さした鬼子ちゃん。水筒を煽っていた瑞祥さんが咳き込みながら「わたしィ!?」と素っ頓狂な声を上げる。

ふん、と鼻を鳴らした鬼子ちゃんにぽかんと口を開けた。

もしかして私、怒涛の勢いで貶されてる……?


「鬼市さんはあなたには相応しくありません。身の程をわきまえてください」


シーン、と静まり返った練習室。驚愕の表情を浮かべる皆と呆気に取られた私。

最終下校を知らせる鐘がゴーンと鳴り響いた。