自己紹介の順番がその女の子に回ってきた。
一歩前に出て綺麗な所作で頭を下げた女の子に、何人かの男子がぽっと頬を赤くする。そんな男子たちに部員女子が冷たい視線を送った。
「初めまして。八瀬童子一族の鬼子と申します。中等部三年です。よろしくお願いいたします」
八瀬童子一族!
そうか、鬼市くんが話していた女鬼って彼女のことだったんだ。
自己紹介が終わるとまた皆が拍手を送る。
「当分の間はこのメンバーで練習することになると思うから、お互いにいい所は盗みあって研鑽してちょうだいね」
はーい、と皆が声を揃えた。
「じゃあ部長さん、あとはよろしくね」
「はい富宇先生。……じゃあ皆はさっきの所から続きを! あと30分で部活終わっちゃうし、鞍馬の神修の皆は今日は見学でいいかな?」
こくりと頷いた皆が鏡前に並んで座る。鬼子ちゃんもだ。その間もじっと私を見ていて、見定めるかのような視線が痛い。
「巫寿ちゃん、集中して!」
聖仁さんにそう注意されて、慌てて背筋を伸ばす。
そうだよね、人の事よりまずは自分のこと。目の前のことに集中しなきゃ。
ぺしぺしと頬を叩き鏡の中の自分を見つめた。