練習が始まって一時間くらい過ぎた頃、神楽部顧問の富宇(ふう)先生と一緒に数人の女の子が練習室へやってきた。

見慣れない顔だった。


「皆さん、ちょっと集まってちょうだい」


富宇先生のそんな声に聖仁さんが「集合!」と声をかける。先生の周りに集まった皆は興味津々に来訪者を見た。


「もうご存知かとは思うけれど、鞍馬の神修から中等部と高等部の学生さんが来てくれているわよね。交流期間中は部活動にも自由参加できるから、向こうの神楽部の部員に練習に参加してもらうことにしました」


わぁ、と拍手があがる。

富宇先生の隣に並んだ数人の女の子たちが頭を下げた。

「それじゃあ一言ずつ簡単に挨拶してくれる?」という富宇先生の提案で、自己紹介が始まる。

鞍馬の神修にも神楽部があるんだなぁなんて思いながら聞いていると、やけに視線を感じる気がして首をめぐらせる。

前に並ぶ女の子たちの一番端に立っていた女の子とばっちり目が合った。長い黒髪が綺麗な、少し勝気な端正な顔立ちをした女の子だ。

視線が絡んでも目をそらすことなくじっと私を見ている。というか睨んでいるようにさえ思えてきた。

気まずくて私が目をそらす。


どうしてあんなに私のことをガン見してるんだろ……。