「だから私や祝寿の意見としては、二年生からは────」
「嫌ですッ!」
咄嗟に出た言葉は思ったよりも大きくて、勢いよく立ち上がった私を二人は驚いたように見上げていた。
「あのな巫寿、ちゃんと聞いて」
諭すようなお兄ちゃんの声色に顔を顰めた。
その続きは聞かなくたって分かる。
どうして? だって夏休みに話し合った時に、認めてくれたんじゃなかったの?
確かにこの一年沢山危ない目には遭ったし、それで周りの人達に心配をかけた自覚もある。それでも私の思いを聞いて、尊重してくれたんじゃなかったの?
「また神修へは行かせないっていうの……? 嫌だよ、私はあそこで勉強したい……ッ! やっと見えてきたの、目指したい背中とかなりたい姿とか。やっと皆の役に立てたの。守られてばかりじゃなくて、私もみんなを守ってあげられたの……!」
両親が命にかえて守ってくれて、そこからお兄ちゃんが大切に守って育ててくれた。初めて妖に襲われた時は禄輪さんが助けてくれて、空亡の残穢を封じた時はみんなに背中を押してもらった。
何度も助けられ守られて、ずっと私は何も返せていなかった。
でも三学期に授力が使えるようになって、守られてばかりだったこんな私でも役に立つことが出来た。
誰かを助け、守ることが出来た。
それがどれほど嬉しかったか。