受付のようなところで名前を名乗れば、直ぐに若い役員の男性に中へ案内された。
またこの前呼び出された会議室のような所へ連れていかれるのかと思えば、案内されたのは小綺麗な応接室だった。
その男性がコンコン、と扉を叩けば中から「どうぞ」と女性の声がした。
ドアを押した男性は私に中へ入るように促す。
失礼します、と恐る恐る中に足を踏み入れると、ソファーに座って待っていたのは前回の怖い顔をしたおじさん達ではなかった。
おそらく80代くらいのおばあさんだった。神職の関係者を示す白衣に松葉色の袴を身に付けている。
にこにこと人のいい笑みを浮かべて私を見上げるおばあさんは「ごめんなさいね、膝が悪いから座ったままで」と私に微笑む。
慌ててぶんぶんと首を振った。
「それでは私はこれで。誉さま、何卒よろしくお願いいたします」
「はい、任されました」
役員の男性が丁寧に頭を下げて応接室下がっていく。
部屋に取り残された私はしまった扉を困惑気味に見つめる。
「ええと……あなたが椎名巫寿さんね」
名前を呼ばれて慌てて振り返る。
「あ、はい。椎名巫寿です。はじめまして」
ぺこりと頭を下げると「どうぞ座って」と向かいのソファーを勧められる。
おずおずと腰を下ろした。