「あ……えっと。(ろう)、です」


瓏くんは少し居心地が悪そうに身を縮めて小さく頭を下げた。

皆はお構い無しに「よろしくな!」と瓏くんの背を叩く。


「瓏は何の妖なんだ?」

「髪白いから雪男とか?」


みんなが興味津々に詰め寄って、瓏くんは顔を引き攣らせて仰け反る。

その時、隣から信乃くんが肩を組んだ。


「瓏は俺らと一緒に暮らしてるんや」


な、と笑った信乃くんに瓏くんはこくりとひとつ頷いた。

なるほど、ということは瓏くんも妖狐なんだ。

そこからみんなで雑談をしていると、ホームルームが終わる五分前に薫先生が戻ってきた。


「今日から二ヶ月間、二年生はこのメンバーだよ。沢山競い合って沢山遊んで、沢山思い出を作るようにね」


はーい、とみんなが声を揃えたところで休憩を知らせるチャイムが鳴り響いた。

えっと、一限目は漢方薬学だから移動教室だ。

ごそごそと机の中を漁っていると、「巫寿」と名前を呼ばれた。顔を上げると薫先生がドアのそばで私に向かって手招きをしている。

席を立って歩み寄った。