「二年生諸君、新しいお友達の紹介だよ」
ゴールデンウィーク明けのホームルームで薫先生はテンション高くそう言った。
「てか薫センセー、異文化理解学習あるの何で教えてくれなかったんだよー」
「ごめんごめん、言うの忘れてた」
「それでも先生かよ!」
「これでも先生です」
ギャハハ、と笑い声が響く教室。私も思わずくすくす笑う。
ふと薫先生と目が合って、先生は目を弓なりにして微笑んだ。少し恥ずかしさと気まずさが混じる。
その眼差しで、薫先生にも心配かけていたのが分かった。
「はいはい、という訳で鞍馬の神修から中等部と高等部の学生が来てくれてます。うちのクラスは高等部三名を受け入れるので、仲良くするように。入っといで〜」
薫先生が廊下の向こうに向かって声をかけた。それと同時にガラリと教室の扉が開く。
「こっちの神修も、うちとそんなに大差ないんやな」
「信乃、そこで止まるな。さっさと進め」
先頭で入ってきたのは、黄土色の髪を持つ男の子だった。ずらりとしていて背が高い。ツリ目がちな琥珀色の瞳を大きく見開いて教室を見回した。
その後に続いて鬼市くんが入ってくる。目が合って軽く手を上げた鬼市くん。
気まずさを感じながらも身を小さくしながら小さく振り返した。
「おい瓏、何してんねや? お前もさっさと入って来ぃ」
開け放たれたドアに向かって男の子が呼びかける。