車が学校に到着する頃にはとっぷり日が暮れていた。

とんでもないゴールデンウィーク最終日になり、疲れ果てた皆はとぼとぼと寮の中へ入っていく。

私も重い体を引きずるように寮へ入ると、遅い時間にも関わらず大勢の生徒が玄関にいて騒がしかった。

何事かとキョロキョロしながら靴を履き替えていると、奥で嘉正くんたちが話しているのを見つけた。


「あっ! 巫寿が帰ってきたぞ!」


慶賀くんがいち早く私を見つけて声を上げる。皆は大急ぎで駆け寄った来た。


「巫寿ちゃん、大丈夫だったの!?」

「大百足が出たって寮監から聞いたぞ!」


焦った表情の皆になるほどと心の中で呟く。

皆も他の生徒も、車に乗っていた友達を心配してここで待っていてくれたんだ。


「ありがとう、心配かけてごめんね。私は大丈夫だよ、あと恵衣くんも」


隣で靴を履き替えていた恵衣くんを振り返る。

恵衣くはふん、と鼻を鳴らした。


「大百足はどうなったんだ?」

「あ、それがね。同い年くらいの知らない男の子が息吹法で修祓して……」

「息吹法で修祓!?」


そりゃ驚くよね、と苦笑いを浮べる。私だってこの目で見たことなのに未だ信じがたい。

ゾロゾロとみんなで広間へ向かって歩き出す。

何人か見知らぬ顔とすれ違って首を傾げた。


「ねぇねぇ、寮内がいつもと違うような気がするんだけど……」


この時間にたくさんの生徒が起きているのもそうだけど、いつもよりも寮内が混みあっているというか賑やかというか。

あれ、と皆は首を傾げた。