ずっと我関せずという態度だったのでまさか心配してくれていたとは思わなかった。

心配してくれるのは嬉しいけど、それにしても分かりにくすぎる。


「お前、周りのこといちいち気にし過ぎ。そんなに人から好かれてたいのかよ」

「だって友達だし……」

「簡単に噂に惑わされる奴らのこと本当に友達だって言えんのか?」


そう言われて言葉につまる。


「本庁が適当な仕事するわけないだろ。役員が一級だと判断したならそうなんだよ。馬鹿馬鹿しい」


なるほど。恵衣くんは私を信じてくれていると言うよりも本庁のことを信じているんだ。

ご両親が本庁の役員だし、それもそうか。

純粋に私を信じて心配してくれていた訳じゃないと分かって、少し切ないが恵衣くんらしいし納得だ。


何はともあれ心配してくれていたことには変わりない。もう一度「ありがとう」とお礼を口にすれば「さっきも聞いた」と素っ気なく返された。

思わずくすくす笑うと「気持ち悪い」と睨まれて肩を竦めた。