神修は学生数が少ないからほとんど顔見知りだけれど、その子は初めて見る顔だった。


「恵衣くん、誰だか知ってる?」

「いや」


恵衣くんも知らないということは、神修の学生ではないはずだ。この車は神修直通だから、社か本庁の関係者なんだろう。

すやすやと静かに眠る男の子。

やがて「出発します!」と声がかかり、車はゆっくりと動き出した。