来た時と同様鬼脈を通って、神修行きの車が出発する乗り場へ着いた。
ゴールデンウィーク最終日の夕方なだけあって、遊びに出かけていた神修生で溢れていた。
少し中へはいるのに躊躇して恐る恐る足を踏み入れる。
けれど皆は休みの思い出を語るのに夢中で、私の事なんて気にも留めない。ホッと息を吐いて中に入った。
中も学生で溢れていて、座る場所を探してきょろきょろしていると「おい」と少し離れた場所から声が聞こえる。
声の方に目を向けると恵衣くんと目が合った。
サッと目をそらすと顎で自分の隣を示す。
その意図に気がついて、生徒の間をぬって進み隣に腰を下ろした。
「ありがとう恵衣くん。席探してたの」
「別にお前のためじゃない。視界の隅でウロチョロされて迷惑だっただけだ」
ふん、と鼻を鳴らした恵衣くんに苦笑い。
相変わらずな物言いだ。
それにしても、と自分たちの正面に座る人物を見た。
壁にもたれ掛かり目を閉じるその男の子。歳は多分同じくらいだろう。藍色の着流し姿だったけれど、和服で過ごす生徒もそこそこ多い神修ではさほど珍しくは無い。
ただ彼の何色にも染まらない真っ白な髪がかなり目立っていて、他の学生たちもちらちらと様子を伺っている。