「────そっかぁ……。そんな事が」


真剣な顔をして話を聞いていた恵理ちゃんが眉尻を提げてそう呟く。こくりと頷き差し出されたティッシュで鼻をかんだ。

恵理ちゃんに学校で起きていることを一通り話したおかげか、いっぱいいっぱいだった心が心が落ち着いた気がする。


「話してくれてありがとう」

「聞いてくれてありがとう」


お互いの感謝の言葉が被って顔を見合せた。そしてプッと吹き出す。

あはは、とお腹を抱えて笑いあった。


「にしても、難しい問題だね。そういうのって、"不正じゃない、自分の力で勝ち取ったんだ"ってアピールすればするほど皆は疑ってくるわけだし、何も言わなければ肯定してると受け取られるしさ」


妙に具体的に言った恵理ちゃんに「うん?」と首を傾げる。


「ああ。実は私も去年の夏休み頃に、大会の団体戦の出場枠に選ばれてさ。先生とか先輩とかと結構仲良かったから贔屓だとかコネだとか色々言われたんだよね〜」


今日はいい天気だね、のテンションでそう言った恵理ちゃんに目を瞠る。


「聞いてないよ!」

「言ってないもん。それに私としては家の事でいっぱいいっぱいだったから」


去年の夏休みというと、恵理ちゃんは家で起きる怪奇現象に悩まされていた。

それで相談を受けた私たちが修祓に臨んだけれど失敗して、結果駆け付けた禄輪さんに助けて貰った。