初日は何かをする訳でもなく、帰り道にスーパーでお兄ちゃんと買い物をして、アイスをかじりながら帰って玉じいと晩ご飯を食べた。
その次の日は恵理ちゃんが遊びに来てくれた。わざわざ所属するバトミントン部の活動が終わってから顔を出してくれた。
「イコくん私カルピスの牛乳割りがいい〜」とわが家のようにくつろぐ姿に笑ってしまう。恵理ちゃんは昔からそうだった。
暫くはお兄ちゃんと三人で談笑していたけれど、お兄ちゃんに電話がかかってきて本庁から仕事を割り振られたらしく「家族団欒を邪魔しやがってクソジジイどもめ」と鬼の形相で出かけて行った。
依頼先じゃなくて本庁の庁舎に乗り込みに行きそうな勢いだったので少し心配だった。
相変わらずだね、なんて談笑していると、恵理ちゃんは少し間をおいて真剣な顔をした。
「あのさ、巫寿」
「うん?」
「何かあった……?」
思いもしなかった言葉に目を瞬かせた。
恵理ちゃんは心配そうにきゅっと眉根を寄せて言葉を続けた。
「その……最近電話もしてなかったしメッセージも返してくれるのちょっと遅かったでしょ? 学校大変なのかなって思ってたんだけど、泰紀くんから"元気づけてやって"って連絡が来て……」