薫先生を見上げた。
神修は基本外泊がダメで、外泊できるのは夏と冬と春の長期休暇のみ。ゴールデンウィーク中ももちろん外泊は出来ないはずなのに。
「ちょっと疲れちゃったんだよ。体も心も。家でゆっくり過ごして、また休み明けに元気に登校してきて」
私だけそんな特別待遇を受けて、また皆に何か言われたりしないだろうか。ああでも、何か言われたとしてもあんまりこれまでと変わらないか。
だったら、陰口も敵意のこもった視線もない場所で落ち着いて過ごしたい。
帰ったらお兄ちゃんとテレビを見て、恵理ちゃんと遊んで、玉じいとご飯を食べよう。
楽しみなことを考えると、ちょっとだけ胸が軽くなった。
「ありがとうございます」とお礼を伝えると二人は少し心配そうに笑って頷いた。