「ぐ、具合悪いのか?」

「大丈夫?」

「無理しないで、巫寿」

「は、腹減ってんなら、俺の秘蔵アンパン食うか?」


みんなの優しさが嬉しくて気を遣わせていることが申し訳なくて、何か言いたいのに言葉が出てこず小さく首を振って席を立った。

保健室につくと陶護先生がいつもと同じように対応してくれて、奥のベッドを貸してくれた。

「一応熱測りましょうか」と言われて、体温計を渡された。熱なんてないと思うけどな、と思いながらも脇に挟むと体温計は38度を示した。


「薫さんには伝えときますから、ゆっくり休んでください。起きたら少しお話しましょうか」


陶護先生にそう言われてひとつ頷き布団に潜る。思ったよりも疲れていたのか、次に目が覚めたのは最終下校時間だった。

薫先生と陶護先生の話し声に目が覚めて仕切られたカーテンの外に出る。


いつも顔を合わせる度に陶護先生をいじめる薫先生が、珍しく真面目な顔をして話し合っていた。

私に気がついた二人が椅子に座るよう手招きした。言われるままに座って、いくつか質問される。熱っぽいぼんやりした頭で答えていると、薫先生は最後に私の頭を撫でた。


「巫寿。ゴールデンウィークなんだけどね、外泊できるように申請出しといたから、一旦実家に帰りな」

「え……?」