「お前ら、巫寿の話聞いてたのか?」
突然後ろから肩を組まれて、驚いて顔を上げる。
「巫寿がやってないつってんだから、それでいいだろ」
「瑞祥さん……」
な、とウィンクした瑞祥さんに堪えきれなくなって涙が溢れた。慌てて袖で目元を抑える。
「この一年一緒に過ごしてきて、巫寿ちゃんがどんな人柄なのか皆はよく知っているよね。真面目で勤勉で、努力家で誠実だってこと」
反対側に聖仁さんが並んで立つ。ぽんと背中が叩かれた。胸を張っていいんだと私に伝えているようだった。
皆は納得いかないような表情で、ヒソヒソと言葉を交わす。
「さ、掃除も終わったし解散しよう」
手を打った聖仁さんに皆は「お疲れ様でした」と頭を下げてぞろぞろと散り始める。
ちらちらと向けられる視線が痛い。
「さ、巫寿も帰るぞ! 晩飯のデザートにおはぎ出るんだってさ〜」
「ほんと? 神修のおはぎ結構好きなんだよね、俺。巫寿ちゃんは?」
先輩二人に挟まれて練習室を出た。廊下を歩きながらいつも通りに話しかけてくる。
「あ、あの私……」
「懐かしいな、あの雰囲気! お前も飛び級した時散々疑われてたよな〜」
「あはは、そんなこともあったね」
え、と目を丸くする。