「私、あなたのことが好きです」

「……え?」

 告白した私の顔を見て、その人は驚きを隠せない、というような表情をしている。
  
「好きなんです。……あなたのことが」

 どうしても、好きだって言いたかった。 私は、この人のことが好きだから。
 この人を好きになって、もう一年になる。 好きだって思うと、胸が苦しくなって、泣きたくなるくらい好きなんだ。

「……秋穂ちゃん」

「すみません。……迷惑だっていうのは、分かっているんですけど」

 私のことを「秋穂ちゃん」と呼ぶその人は、私が好きな人。

「いや、嬉しいよ」

「え……?」

「まさか、秋穂ちゃんが俺のこと好きだったなんて……ね。ちょっと意外だったけど」

 その人は、少しだけ困惑したような表情を浮かべている。

「俺みたいなタイプ、好きじゃないと思ってた」

「どうして……ですか?」

 どうして、そう思うのだろうか。

「前に秋穂ちゃん、飲み会の席で好きなタイプ話してたでしょ? あの時、好きなタイプ聞かれで情熱的な人゙って言ってたからさ。俺なんか、別に情熱的な人じゃないし」

「あ……あれ、ですか」

 あれは咄嗟に聞かれて答えたことだったから、本当のタイプとは違うんだけど。

「情熱的な人っていうのは……ウソです」

「え……?」

 私はその人に向かって、「違うんです。本当は……男らしくて、笑顔が素敵な人が好きなんです」と伝えた。