たしかに今日の一夜はいつもは着ないようなカジュアルなジャケットなんて羽織っておしゃれだった。


でもそれも、あの子と会うからだったりして…。



気になるならいっそのこと問い詰めればいいのに、臆病な私はやっぱりできなかった。



「…そう。まあいいよ、事故とかに遭ったわけじゃないなら」


「まじでごめん!おわびに今日は俺が全部払うからさ!…って言っても、ファミレスで勘弁だけど」



さっきのカップルを思い出して、思わず吹き出してしまった。



一夜が来るまではモヤモヤと怒りで頭がいっぱいだったのに、いざ顔を見たらそんなの飛んでいってしまうほどに私は単純だった。


結局は一夜のことが好きで好きでたまらないのだ。





「でさ…って、聞いてる?亜芽?」


「…え?」