そのまま一夜には曖昧に誤魔化され、声をかける前にかろうじて聞き取れたのは“明日”という単語だけ。


だが明日…つまり今日は、一夜とご飯に行く約束を前からしていた。


私とのデートがあるというのに、一夜はあの子と午前中に会うつもりなのかもしれない。


もちろん一夜を信じたいけど、一時間も連絡もなしに待ちぼうけをくらわされさすがにその疑いが強くなってきた。



「亜芽！」



もう帰ってしまおうか。そう思っていた時だった。


息を切らせながら一夜がやっと待ち合わせ場所にやってきた。



「悪い！遅くなった！」


「遅くなったって…今何時だと思ってるの？何してたの」


「あー…服が、服がなかなか決まらなくてさ。ほら最近部活ばっかでデートも久しぶりだったろ？いつもよりも気合い入れて亜芽のことびっくりさせようかなって思ってさ。そうこうしてたらいつの間にかこんな時間で…ほんっとごめん！スマホもちょうど充電切れてて連絡できなくて…」