「危ない!」


「え?」



急に頭上が暗くなったかと思うと、誰かに引き寄せられるようにして地面に倒れ込んでいた。



「大丈夫!?ボール、当たらなかった?」


「へ?ボール…?」



ずっと遠くから見つめていた一夜の顔がすぐ目の前にあって、私の思考は全く追いつかない。


私に向かって飛んできたボールを一夜が庇ってくれたのだと知るのは、この少し後のことだった。



「君、いつもここ通って帰ってる子だよね?たしか隣のクラスの」


「え…っ」



これが私と一夜の最初の会話だった。