「別れよう」
土曜日のデート中のカフェで……。
スマホを片手にした彼から唐突に切り出された言葉に、私は言葉を失った。
「え、なんで……」
「お前といてもつまんねえんだよ」
前兆はあったかもしれない。
私とふたりきりになると彼はつまらなさそうにしていて、いつもスマホをみてばかり。
けれども……人目につくようなカフェで別れを切り出されるなんて、思いもしなかった。
「じゃあ俺、次予定あるから」
「ちょっと待って!」
引き止めたけれども、彼は目も合わせずにお店を出てしまった。
呆然として視線だけで彼を追いかけると、ガラスを隔てた向こう側で別の女の子に手を振っているところが見えた。
「……デートの日に、他の女の子と合う予定をしていたの?」
きっと今日の彼は元から、私と最後まで付き合うつもりなんてなかったんだ。
開けっ放しの入り口から、彼らの声が聞こえてくる。
「今夜はストロベリームーンって言って、月がピンク色になる日らしいな」
「なにそれ面白そう!」
そんな話題、私にはしてくれなかったのに。
「一緒に見た人と結ばれるらしいのね。一緒に見に行きましょうよ!」
気のせいかもしれないけれども……。
彼女が私をチラッと見て嘲笑っていたように見えた。
「そうだな。眺めのいいところにドライブしにいくか」
元彼と彼の新しい彼女が、腕を組んで去って行く。
あまりにも親し気な様子に、私と彼が付き合っていた間もそう言う関係だったということが見て取れた。
「……」
グラスの中の氷が溶けて、カラン……と音を立てる。
まるで、私の心を打ち砕くように……。
テーブルに置かれたままの彼の飲みかけのアイスコーヒーと伝票が、私への心残りのなさを強く物語っていた。
土曜日のデート中のカフェで……。
スマホを片手にした彼から唐突に切り出された言葉に、私は言葉を失った。
「え、なんで……」
「お前といてもつまんねえんだよ」
前兆はあったかもしれない。
私とふたりきりになると彼はつまらなさそうにしていて、いつもスマホをみてばかり。
けれども……人目につくようなカフェで別れを切り出されるなんて、思いもしなかった。
「じゃあ俺、次予定あるから」
「ちょっと待って!」
引き止めたけれども、彼は目も合わせずにお店を出てしまった。
呆然として視線だけで彼を追いかけると、ガラスを隔てた向こう側で別の女の子に手を振っているところが見えた。
「……デートの日に、他の女の子と合う予定をしていたの?」
きっと今日の彼は元から、私と最後まで付き合うつもりなんてなかったんだ。
開けっ放しの入り口から、彼らの声が聞こえてくる。
「今夜はストロベリームーンって言って、月がピンク色になる日らしいな」
「なにそれ面白そう!」
そんな話題、私にはしてくれなかったのに。
「一緒に見た人と結ばれるらしいのね。一緒に見に行きましょうよ!」
気のせいかもしれないけれども……。
彼女が私をチラッと見て嘲笑っていたように見えた。
「そうだな。眺めのいいところにドライブしにいくか」
元彼と彼の新しい彼女が、腕を組んで去って行く。
あまりにも親し気な様子に、私と彼が付き合っていた間もそう言う関係だったということが見て取れた。
「……」
グラスの中の氷が溶けて、カラン……と音を立てる。
まるで、私の心を打ち砕くように……。
テーブルに置かれたままの彼の飲みかけのアイスコーヒーと伝票が、私への心残りのなさを強く物語っていた。