おにぎり、といって想像するのはどんな食べ物だろうか?
大抵の人は中に具が入って、焼き海苔で包んだものをイメージすると思う。俺もそうだ。
ただ今回はおにぎり初体験の幼女ことピナレラちゃんがいるので、ばあちゃんは具は各自で好きなものを後のせできるよう、白い塩むすびだけを大量に作った。
三人だけなので大量といっても大した量ではない。普段俺たちが食べているサイズだとまだ四歳児のピナレラちゃんは食べきれないので、ばあちゃんはピンポン玉サイズの小さな塩むすびを握るそうだ。
まず土鍋の中でごはんを底からしゃもじで空気を含ませるようにかき混ぜる。うお、お焦げがいい感じにできている! これは期待が高まりますな。
そのまま土鍋からでもいいんだが、ばあちゃんは一度、木のお櫃にご飯を移して少し水分を飛ばす。こうすると余計な水分が抜けて握りやすくなるし、ご飯がより、もちっとした感触になるのだ。
あとは手をよく洗って、そのまま濡らした手に塩を少し。二口分ぐらいのご飯を気持ち平らにして、軽くまあるく丸めて皿に並べていく。
「わああ……」
その素早さたるや、さすがばあちゃん。次々並べられていく白ごはんのミニおにぎりにピナレラちゃんも驚いている。
「ユキちゃん。小鉢におかずとおにぎりの具、盛ってけろ」
「わがった」
言われるままに梅干しや昆布の佃煮を出したり、削り節に醤油を混ぜておかかを作ったり。
梅干しは毎年ばあちゃんが干して漬けてる自家製。粒が大きいストロング酸っぱいやつだ。これは一応種を取って小さくちぎっておくか……
作ってすぐ食べるなら俺は塩辛なんかも好きだが、あれはまだピナレラちゃんには早い。お酒の味を覚えるお年頃になってからだ。
冷蔵庫にあったものはいくつか出し終えた。
あとは何があったか、と戸棚を見ると買い置きのツナオイル缶や瓶詰めがある。
「ピナレラちゃん、ツナは好きかい?」
「ツナってなあにー?」
「お魚をスープと油で炊いたものなんだけど」
「おしゃかな! ちゅき!」
「うん。じゃあこれも食べてみようか」
ヤバいな。既にピナレラちゃんの〝ちゅき〟のためならどんな犠牲でも払えそうな俺がいる。
ツナにマヨネーズを混ぜて小鉢に移し替えたところで、ばあちゃんも塩むすびを握り終えていた。
ふふ、炊き立てでつやつやのささみやび。よくご飯を褒める言葉に「お米が光っているよう」と言われることがあるが、……いや待て。
ばあちゃんの握った塩むすび、なにか薄っすら光って……ないか……?
俺は手の甲で軽く両目を擦った。目を開く。塩むすびを見る。……気のせい、か? いやでもやっぱり薄っすらぼんやり白く光っているような……?
だがそれに気づいたのは俺だけだったようだ。ばあちゃんもピナレラちゃんも何も見てないかのように自然にスルーしている。
米はもなか村産だ。研いで炊いたのはばあちゃんだが、うーん……異世界の水の影響なんだろうか……?
「ユキちゃんー。お皿運んでけろー」
「あ、はーい!」
俺は考えるのをやめた。細かいことを考えるのは飯の後でもよかろうて。
大抵の人は中に具が入って、焼き海苔で包んだものをイメージすると思う。俺もそうだ。
ただ今回はおにぎり初体験の幼女ことピナレラちゃんがいるので、ばあちゃんは具は各自で好きなものを後のせできるよう、白い塩むすびだけを大量に作った。
三人だけなので大量といっても大した量ではない。普段俺たちが食べているサイズだとまだ四歳児のピナレラちゃんは食べきれないので、ばあちゃんはピンポン玉サイズの小さな塩むすびを握るそうだ。
まず土鍋の中でごはんを底からしゃもじで空気を含ませるようにかき混ぜる。うお、お焦げがいい感じにできている! これは期待が高まりますな。
そのまま土鍋からでもいいんだが、ばあちゃんは一度、木のお櫃にご飯を移して少し水分を飛ばす。こうすると余計な水分が抜けて握りやすくなるし、ご飯がより、もちっとした感触になるのだ。
あとは手をよく洗って、そのまま濡らした手に塩を少し。二口分ぐらいのご飯を気持ち平らにして、軽くまあるく丸めて皿に並べていく。
「わああ……」
その素早さたるや、さすがばあちゃん。次々並べられていく白ごはんのミニおにぎりにピナレラちゃんも驚いている。
「ユキちゃん。小鉢におかずとおにぎりの具、盛ってけろ」
「わがった」
言われるままに梅干しや昆布の佃煮を出したり、削り節に醤油を混ぜておかかを作ったり。
梅干しは毎年ばあちゃんが干して漬けてる自家製。粒が大きいストロング酸っぱいやつだ。これは一応種を取って小さくちぎっておくか……
作ってすぐ食べるなら俺は塩辛なんかも好きだが、あれはまだピナレラちゃんには早い。お酒の味を覚えるお年頃になってからだ。
冷蔵庫にあったものはいくつか出し終えた。
あとは何があったか、と戸棚を見ると買い置きのツナオイル缶や瓶詰めがある。
「ピナレラちゃん、ツナは好きかい?」
「ツナってなあにー?」
「お魚をスープと油で炊いたものなんだけど」
「おしゃかな! ちゅき!」
「うん。じゃあこれも食べてみようか」
ヤバいな。既にピナレラちゃんの〝ちゅき〟のためならどんな犠牲でも払えそうな俺がいる。
ツナにマヨネーズを混ぜて小鉢に移し替えたところで、ばあちゃんも塩むすびを握り終えていた。
ふふ、炊き立てでつやつやのささみやび。よくご飯を褒める言葉に「お米が光っているよう」と言われることがあるが、……いや待て。
ばあちゃんの握った塩むすび、なにか薄っすら光って……ないか……?
俺は手の甲で軽く両目を擦った。目を開く。塩むすびを見る。……気のせい、か? いやでもやっぱり薄っすらぼんやり白く光っているような……?
だがそれに気づいたのは俺だけだったようだ。ばあちゃんもピナレラちゃんも何も見てないかのように自然にスルーしている。
米はもなか村産だ。研いで炊いたのはばあちゃんだが、うーん……異世界の水の影響なんだろうか……?
「ユキちゃんー。お皿運んでけろー」
「あ、はーい!」
俺は考えるのをやめた。細かいことを考えるのは飯の後でもよかろうて。