「まあひとまず座るが良い」
美少女が溜め息をついて椅子を勧めてくれた。
ミルクティ色の癖毛の男がポットからカップにお茶を入れて飲むように促してきた。……なんかこのお茶、虹色キラキラを帯びた真珠色をしている。
一口飲んで驚いた。熱いかと思ったら冷たい。ものすごい芳醇な味のするフルーツジュースっぽいやつだった。
ハワイやタイみたいな南国に旅行して初めて現地のフレッシュジュースを飲んだときの衝撃に似てる。
これはパイナップルか……マンゴー? ……いやライチが一番近い。華やかで至福を感じる……これでカクテル作ったら女の子受けしそうな感じだ。
俺がフルーツ風味のお茶を飲んだことを確認してから、黒髪の男が穏やかに話し始めた。
「地球は我々が知る限り、とても特殊な星だ。数多の優れた魂が転生するにも関わらず、使命を果たせず傷ついて人生を終える者が多い」
「はあ。そうなんですか」
スピリチュアル系とかそういう話なんだろうか。元職場にもそういう話の好きな人がいた覚えがある。
「通常なら肉体が死を迎えると、もう地球での生活はたくさんだと言って、元いた星に戻る。あるいは自分本来の力が発揮できるような別の星や世界に転生する」
「え。なら俺は死んでしまったわけですか?」
カップをテーブルに戻して、自分の腕や顔に触ってみる。
だ、大丈夫だ、ちゃんと生身の肉体だ! 生きてる!
「もう一つパターンがある。地球で生きた身体を持ったまま、他の星あるいは世界に〝転移〟すること」
「俺はそっち……ですよね?」
じゃあこれは異世界転生じゃなくて異世界転移ルートだ。
でも、なぜ転移? そしてこの不思議な空間と人々はいったい?
疑問が顔に出てたんだろう。答えてくれたのは今度は青銀の髪の美少女だった。
「お前、恐らくこの世界の人間の転生体だぞ。しかも我ら神人の前に現れるとは……我々とどこかで縁が繋がっているようだ」
「縁、ですか」
「過去か。あるいは未来のどこかで」
美少女に剣で殺されそうになる、それどんな縁ですか!?
彼ら、神人といったか。いろいろそれからも説明してくれたのだが、どうにもよくわからない。
ここが不思議な異次元空間でなく、彼らが虹色キラキラに光っていなかったら、絶対何かのカルト宗教かオカルトかと即逃げてるような話だった。
実際、大学時代や社会人になってからもその手の勧誘に遭った経験があった。そのため俺は内心で少し警戒していた。
「君は、この世界で大切な人を救わなければならない」
ミルクティ色の癖毛の男が静かに言った。
ハッとなって彼を見ると、新緑色の瞳が真っ直ぐ俺を射抜いた。
「託宣を授ける。君はこの世界で大切な人を救わねばならない。その使命を果たしたとき、元の世界に戻るか、この世界に残るか。選択の機会が与えられるだろう」
無表情に言われて、癖毛の男が立ち上がり人差し指で俺の額をトンと軽く突いた。
途端、椅子に背筋を伸ばして座っていた俺の身体から力が抜ける。背もたれに当たったと思ったら、そのままぐにゃっと地面に崩れ落ちた。
「君に反則級の特別な力は必要ない。だって君は――――――だから」
なんだ? 癖毛の男は何を言っている?
だめだ、もう意識が……遠く……
美少女が溜め息をついて椅子を勧めてくれた。
ミルクティ色の癖毛の男がポットからカップにお茶を入れて飲むように促してきた。……なんかこのお茶、虹色キラキラを帯びた真珠色をしている。
一口飲んで驚いた。熱いかと思ったら冷たい。ものすごい芳醇な味のするフルーツジュースっぽいやつだった。
ハワイやタイみたいな南国に旅行して初めて現地のフレッシュジュースを飲んだときの衝撃に似てる。
これはパイナップルか……マンゴー? ……いやライチが一番近い。華やかで至福を感じる……これでカクテル作ったら女の子受けしそうな感じだ。
俺がフルーツ風味のお茶を飲んだことを確認してから、黒髪の男が穏やかに話し始めた。
「地球は我々が知る限り、とても特殊な星だ。数多の優れた魂が転生するにも関わらず、使命を果たせず傷ついて人生を終える者が多い」
「はあ。そうなんですか」
スピリチュアル系とかそういう話なんだろうか。元職場にもそういう話の好きな人がいた覚えがある。
「通常なら肉体が死を迎えると、もう地球での生活はたくさんだと言って、元いた星に戻る。あるいは自分本来の力が発揮できるような別の星や世界に転生する」
「え。なら俺は死んでしまったわけですか?」
カップをテーブルに戻して、自分の腕や顔に触ってみる。
だ、大丈夫だ、ちゃんと生身の肉体だ! 生きてる!
「もう一つパターンがある。地球で生きた身体を持ったまま、他の星あるいは世界に〝転移〟すること」
「俺はそっち……ですよね?」
じゃあこれは異世界転生じゃなくて異世界転移ルートだ。
でも、なぜ転移? そしてこの不思議な空間と人々はいったい?
疑問が顔に出てたんだろう。答えてくれたのは今度は青銀の髪の美少女だった。
「お前、恐らくこの世界の人間の転生体だぞ。しかも我ら神人の前に現れるとは……我々とどこかで縁が繋がっているようだ」
「縁、ですか」
「過去か。あるいは未来のどこかで」
美少女に剣で殺されそうになる、それどんな縁ですか!?
彼ら、神人といったか。いろいろそれからも説明してくれたのだが、どうにもよくわからない。
ここが不思議な異次元空間でなく、彼らが虹色キラキラに光っていなかったら、絶対何かのカルト宗教かオカルトかと即逃げてるような話だった。
実際、大学時代や社会人になってからもその手の勧誘に遭った経験があった。そのため俺は内心で少し警戒していた。
「君は、この世界で大切な人を救わなければならない」
ミルクティ色の癖毛の男が静かに言った。
ハッとなって彼を見ると、新緑色の瞳が真っ直ぐ俺を射抜いた。
「託宣を授ける。君はこの世界で大切な人を救わねばならない。その使命を果たしたとき、元の世界に戻るか、この世界に残るか。選択の機会が与えられるだろう」
無表情に言われて、癖毛の男が立ち上がり人差し指で俺の額をトンと軽く突いた。
途端、椅子に背筋を伸ばして座っていた俺の身体から力が抜ける。背もたれに当たったと思ったら、そのままぐにゃっと地面に崩れ落ちた。
「君に反則級の特別な力は必要ない。だって君は――――――だから」
なんだ? 癖毛の男は何を言っている?
だめだ、もう意識が……遠く……