僕にかけられるエール、応援、あと野次。
いろいろあるけどみんな、僕の再起を促すものだ──励ましとか、叱咤とか。そういうのばかり。
「やはりまだまだ子供と言うべきかな……アールバドもだが。ま、所詮その程度のことだ、人生においてはな」
「誰も死んでない時点でそこまで気に病む話でもない、といいつつもレイアの苦しみを思えば、やはりグンダリはいっぺん死んでこいと言いたくなるが、ううむ」
「我が友! 立ち上がり、そして戦え! 他の誰でもない自分自身のために!!」
「ソウマ……どんな苦しみにも報いがある。どんな夜にも明け方がある。今がきっと、お前にとっての何度めかの夜明けなのだ」
「つーかグチャグチャ言ってねえでさっさと戦えやコラァ!! いつまで凹んでんだコラァッ!!」
ベルアニーさん、ウェルドナーさん、カインさん、シミラ卿。あとリューゼ。
昔からの知り合いがそれぞれ、いろんな想いを投げかけてくる。
「ソウマー! なんかよく分かんねえけど、お前はスゲーやつだ、自信持てー!」
「あんたよくあの状態の2人に声かけられるわね……でも私も。負けないでね杭打ちー! 応援してるわよー!」
「ぴゃわわわわわ、ぴゃー!」
「マナさん!?」
「事態についていけず壊れた!?」
煌めけよ光の5人。最近出会って、それでも友達になれた人達。
なんか一人、場の空気に押しつぶされてるっぽいけど大丈夫? 僕よりそっち心配したほうがよくないー?
「……ソウマくん」
「シアンさん……」
──そして、シアンさん。
折れていた僕に、潰れてた僕に新しい道を示してくれた、団長。
レイアにもどこか似た、けれどレイアにもない輝きを秘めた、今はまだ未熟な冒険者。
だからこそ、今の僕には泣きたくなるほど眩しいその人が、僕をまっすぐに見つめる。
風の中、揺れる草原にしっかりと立ち。
誰よりも凛とした気迫を放つ彼女が、そして叫んだ。
「冒険とは、未知なる世界に触れること! 冒険とは、冷たい世間の風に晒され、それでもなお己が焰を燃やし続けること!」
「…………!!」
「そして! ……冒険とは、何度立ち止まってもまた歩いていく、私達それぞれの人生そのもの。幾度となく挫折して、それでも夢を見ることだけは止めない。それこそが私達であり、私達の冒険そのものだと信じます」
かつて、レイアが僕にくれた言葉、だけじゃない。それを踏まえて、今また、シアンさんが僕に教えてくれている。
冒険──人生。冒険者だけじゃない、誰もが何度でも何かの拍子に立ち止まり、休んで、また進みはじめる。
「例外はありません。生きとし生けるものすべて、何度でも躓き、またいつか、どこかを目指していくのです。終わりを迎えるその時まで、冒険は続いていく」
「シアン、さん」
「あなたの冒険が、今こそ再び始まるのです! ……私達新世界旅団と一緒にね。つまずくにしても、歩き出すにしても、一人じゃなければきっと楽しいでしょう?」
最後には花咲くようにニッコリと笑う彼女に、僕もまた、微笑みを返した。
そう、だね。そうだよ、そうなんだよ。彼女となら、彼女達となら、僕はきっとまた、歩き出せる。やる気なく、死んだ目で足踏みだけしていた3年間を、終わらせられる。
ゆっくりと立ち上がる。レイアによる斬撃のダメージはまだ残ってるけど、それ以上に心が晴れ渡る。
レイアを見据える。優しく微笑む彼女もまた、きっと僕がまた歩き出すのを信じてくれている。新世界旅団だけじゃない。調査戦隊のみんなも、また、僕にとっては……
「本当に、かけがえのない宝物だったんだ……それでも僕は、向き合い方を知らなかった。3年前にあったことは結局のところ、たったそれだけのことなんだろうね、きっと」
「そう、かもね。お互いにきっと、そうだ」
「でも、僕はようやくそれを知れた。時間がかかっちゃったけど、それに気づけた。なら、今ならたぶん、ゼロに戻れる」
マントを脱ぎ捨てる。帽子はとうに風に吹き飛ばされていて、素のままの僕、杭打ちじゃない冒険者ソウマ・グンダリが姿を表す。
夕日が沈みゆく。草原が揺れる。静かに流れる時の中、そして──
僕は"利き手である"左手を伸ばした!
「杭打ちくん!!」
「ッ!?」
遠く、僕が吹き飛ばされると同時にあらぬ方向へ弾かれ横たわる相棒へと手を伸ばせば、左腕から青白い稲妻めいたエネルギーが迸って放出される!
初めての業だ──今ならなんとなくできる気がした。伸ばしたエネルギーは杭打ちくんを包み込み、そして僕の元へ、左腕へと引き寄せられる!
「な、なんだっ!?」
「グンダリの腕から、なんだ!? 何が出た!?」
「あれは……嘘、まさか……!!」
周囲の冒険者達が驚く中、レリエさんだけはなんだか見覚えありそうだね。
僕にも説明してほしいよー、正直できる気がしたってだけでまさか本当にできるとは思ってなかったところあるから、正直ビックリしてるよー。
ともあれ恥をかかずに済んだぞヤッター! と思いながら、エネルギーに掴まれこちらにやってくる杭打ちくんを華麗にゲットー!
ふう! マントも帽子もない、おまけに3年ぶりに利き手での杭打ちスタイル!
──これこそ調査戦隊時代の"杭打ち"、ソウマ・グンダリの姿だよー!!
いろいろあるけどみんな、僕の再起を促すものだ──励ましとか、叱咤とか。そういうのばかり。
「やはりまだまだ子供と言うべきかな……アールバドもだが。ま、所詮その程度のことだ、人生においてはな」
「誰も死んでない時点でそこまで気に病む話でもない、といいつつもレイアの苦しみを思えば、やはりグンダリはいっぺん死んでこいと言いたくなるが、ううむ」
「我が友! 立ち上がり、そして戦え! 他の誰でもない自分自身のために!!」
「ソウマ……どんな苦しみにも報いがある。どんな夜にも明け方がある。今がきっと、お前にとっての何度めかの夜明けなのだ」
「つーかグチャグチャ言ってねえでさっさと戦えやコラァ!! いつまで凹んでんだコラァッ!!」
ベルアニーさん、ウェルドナーさん、カインさん、シミラ卿。あとリューゼ。
昔からの知り合いがそれぞれ、いろんな想いを投げかけてくる。
「ソウマー! なんかよく分かんねえけど、お前はスゲーやつだ、自信持てー!」
「あんたよくあの状態の2人に声かけられるわね……でも私も。負けないでね杭打ちー! 応援してるわよー!」
「ぴゃわわわわわ、ぴゃー!」
「マナさん!?」
「事態についていけず壊れた!?」
煌めけよ光の5人。最近出会って、それでも友達になれた人達。
なんか一人、場の空気に押しつぶされてるっぽいけど大丈夫? 僕よりそっち心配したほうがよくないー?
「……ソウマくん」
「シアンさん……」
──そして、シアンさん。
折れていた僕に、潰れてた僕に新しい道を示してくれた、団長。
レイアにもどこか似た、けれどレイアにもない輝きを秘めた、今はまだ未熟な冒険者。
だからこそ、今の僕には泣きたくなるほど眩しいその人が、僕をまっすぐに見つめる。
風の中、揺れる草原にしっかりと立ち。
誰よりも凛とした気迫を放つ彼女が、そして叫んだ。
「冒険とは、未知なる世界に触れること! 冒険とは、冷たい世間の風に晒され、それでもなお己が焰を燃やし続けること!」
「…………!!」
「そして! ……冒険とは、何度立ち止まってもまた歩いていく、私達それぞれの人生そのもの。幾度となく挫折して、それでも夢を見ることだけは止めない。それこそが私達であり、私達の冒険そのものだと信じます」
かつて、レイアが僕にくれた言葉、だけじゃない。それを踏まえて、今また、シアンさんが僕に教えてくれている。
冒険──人生。冒険者だけじゃない、誰もが何度でも何かの拍子に立ち止まり、休んで、また進みはじめる。
「例外はありません。生きとし生けるものすべて、何度でも躓き、またいつか、どこかを目指していくのです。終わりを迎えるその時まで、冒険は続いていく」
「シアン、さん」
「あなたの冒険が、今こそ再び始まるのです! ……私達新世界旅団と一緒にね。つまずくにしても、歩き出すにしても、一人じゃなければきっと楽しいでしょう?」
最後には花咲くようにニッコリと笑う彼女に、僕もまた、微笑みを返した。
そう、だね。そうだよ、そうなんだよ。彼女となら、彼女達となら、僕はきっとまた、歩き出せる。やる気なく、死んだ目で足踏みだけしていた3年間を、終わらせられる。
ゆっくりと立ち上がる。レイアによる斬撃のダメージはまだ残ってるけど、それ以上に心が晴れ渡る。
レイアを見据える。優しく微笑む彼女もまた、きっと僕がまた歩き出すのを信じてくれている。新世界旅団だけじゃない。調査戦隊のみんなも、また、僕にとっては……
「本当に、かけがえのない宝物だったんだ……それでも僕は、向き合い方を知らなかった。3年前にあったことは結局のところ、たったそれだけのことなんだろうね、きっと」
「そう、かもね。お互いにきっと、そうだ」
「でも、僕はようやくそれを知れた。時間がかかっちゃったけど、それに気づけた。なら、今ならたぶん、ゼロに戻れる」
マントを脱ぎ捨てる。帽子はとうに風に吹き飛ばされていて、素のままの僕、杭打ちじゃない冒険者ソウマ・グンダリが姿を表す。
夕日が沈みゆく。草原が揺れる。静かに流れる時の中、そして──
僕は"利き手である"左手を伸ばした!
「杭打ちくん!!」
「ッ!?」
遠く、僕が吹き飛ばされると同時にあらぬ方向へ弾かれ横たわる相棒へと手を伸ばせば、左腕から青白い稲妻めいたエネルギーが迸って放出される!
初めての業だ──今ならなんとなくできる気がした。伸ばしたエネルギーは杭打ちくんを包み込み、そして僕の元へ、左腕へと引き寄せられる!
「な、なんだっ!?」
「グンダリの腕から、なんだ!? 何が出た!?」
「あれは……嘘、まさか……!!」
周囲の冒険者達が驚く中、レリエさんだけはなんだか見覚えありそうだね。
僕にも説明してほしいよー、正直できる気がしたってだけでまさか本当にできるとは思ってなかったところあるから、正直ビックリしてるよー。
ともあれ恥をかかずに済んだぞヤッター! と思いながら、エネルギーに掴まれこちらにやってくる杭打ちくんを華麗にゲットー!
ふう! マントも帽子もない、おまけに3年ぶりに利き手での杭打ちスタイル!
──これこそ調査戦隊時代の"杭打ち"、ソウマ・グンダリの姿だよー!!