「おーーい、これやる」
光さんが頭だけ潜って器用に何かを取り出し、海面に浮上した。
「……?」
光さんが口で咥えているのは黒い網。この黒い網は光さんや沼霧さんがよく使っているものだ。
中身はどうやら貝らしきものが入っているように見える。
「ほたてだよ。昨日の夜わざわざ北の方まで行って取りに行ったの。さっき渡すの忘れてたからやる」
「えっ、いいの?!」
かなり遠くまで行っていたようだ。そう言えばシャチは1日100キロ以上移動すると彼から聞いた事があったのを思い出す。
私は彼から網を受け取り、網の中のほたてを確認する。ほたては大体10数個ほど入っているのが確認できた。
「というわけでじゃあな。今からまた色々取りに行ってくるからその網ちょうだい」
「はいはい」
網を光さんへ返すと、彼はそれを口で上手い事受け取り、海の中へと潜っていった。その背中はまるで海軍の潜水艦のようだ。
「気を付けてね」
「ほーーい」
ほたての貝はどうやって運ぼうか。結局考えた末に沼霧さんを呼んで手伝ってもらう事になった。沼霧さんもほたてを見てびっくりしている。
「よく取ってきましたねえ……北の方まで行かないと取れないでしょう」
「言ってた。よく移動したなあと」
「とりあえず桶持ってきたのでこれに入れましょう。下処理は私がします」
「ありがとう」
沼霧さんが用意した桶に、ごろごろっとほたてを入れていく。改めて見てもどれも立派な大きさだ。桶に入れ終えた所で、私はこれらをどう調理するのか気になったので沼霧さんに聞いてみる事にした。
「沼霧さん、これどうする?」
「えーー……そうですね。野菜とささっと炒めてみましょうか。煮つけだとお昼と被っちゃいますし」
「いいね。そうしよっか」
家に戻って、早速ほたてと合わせる野菜を決める。
「玉ねぎはどう?」
「良いですね、キャベツも入れましょうか」
「賛成!」
こうして夜は玉ねぎとキャベツとほたてを炒めて、更に玉ねぎでみそ汁を作る事に決めた。
「キャベツって、胃に良いんですって」
「そうなの?」
「みたいですよ。薬膳の本に書いてありました」
「じゃあ、脂っこいものと合わせたら胃もたれ防いでくれるのかな?」
「カツレツにキャベツの千切りが乗ってるでしょう? 多分そこから来てるのかもしれませんね。あくまで私の憶測ですけど」
台所でそう話していると、母親が話を聞きつけやってきた。私から今日の夕食について話をすると、母親も楽しみだ。と言う風に嬉しそうな表情を浮かべる。
「じゃあ、もう少ししたら作りましょうかね。沼霧さん」
「はい!」
「千恵子も手伝う?」
「うん」
光さんが頭だけ潜って器用に何かを取り出し、海面に浮上した。
「……?」
光さんが口で咥えているのは黒い網。この黒い網は光さんや沼霧さんがよく使っているものだ。
中身はどうやら貝らしきものが入っているように見える。
「ほたてだよ。昨日の夜わざわざ北の方まで行って取りに行ったの。さっき渡すの忘れてたからやる」
「えっ、いいの?!」
かなり遠くまで行っていたようだ。そう言えばシャチは1日100キロ以上移動すると彼から聞いた事があったのを思い出す。
私は彼から網を受け取り、網の中のほたてを確認する。ほたては大体10数個ほど入っているのが確認できた。
「というわけでじゃあな。今からまた色々取りに行ってくるからその網ちょうだい」
「はいはい」
網を光さんへ返すと、彼はそれを口で上手い事受け取り、海の中へと潜っていった。その背中はまるで海軍の潜水艦のようだ。
「気を付けてね」
「ほーーい」
ほたての貝はどうやって運ぼうか。結局考えた末に沼霧さんを呼んで手伝ってもらう事になった。沼霧さんもほたてを見てびっくりしている。
「よく取ってきましたねえ……北の方まで行かないと取れないでしょう」
「言ってた。よく移動したなあと」
「とりあえず桶持ってきたのでこれに入れましょう。下処理は私がします」
「ありがとう」
沼霧さんが用意した桶に、ごろごろっとほたてを入れていく。改めて見てもどれも立派な大きさだ。桶に入れ終えた所で、私はこれらをどう調理するのか気になったので沼霧さんに聞いてみる事にした。
「沼霧さん、これどうする?」
「えーー……そうですね。野菜とささっと炒めてみましょうか。煮つけだとお昼と被っちゃいますし」
「いいね。そうしよっか」
家に戻って、早速ほたてと合わせる野菜を決める。
「玉ねぎはどう?」
「良いですね、キャベツも入れましょうか」
「賛成!」
こうして夜は玉ねぎとキャベツとほたてを炒めて、更に玉ねぎでみそ汁を作る事に決めた。
「キャベツって、胃に良いんですって」
「そうなの?」
「みたいですよ。薬膳の本に書いてありました」
「じゃあ、脂っこいものと合わせたら胃もたれ防いでくれるのかな?」
「カツレツにキャベツの千切りが乗ってるでしょう? 多分そこから来てるのかもしれませんね。あくまで私の憶測ですけど」
台所でそう話していると、母親が話を聞きつけやってきた。私から今日の夕食について話をすると、母親も楽しみだ。と言う風に嬉しそうな表情を浮かべる。
「じゃあ、もう少ししたら作りましょうかね。沼霧さん」
「はい!」
「千恵子も手伝う?」
「うん」