まずはお刺し身から頂く。一切れお箸で取って、まずは何もつけずにそのまま頂く。
「むっ……」
赤身のすっとした味わいがふんわりと口の中に広がっていく。生臭さもそこまで感じさせない。
「美味しい」
次に、しょうゆをつけて頂く。しょうゆと赤身の癖のない味が合わさって、相性の良さを感じさせる。
(この赤身、しょうゆに漬けこんで鉄火丼にするのも良いかも)
味噌汁も温かくて、刺し身同様にご飯と合う。
「どれも美味しい……!」
「千恵子さんほんとですか?!」
「うん、どれも美味しい!」
沼霧さんは嬉しそうにぺこぺこと頭を下げながら、刺し身を頂いていく。あやかし達も美味しそうにマグロをつまんでいる。
(光さんには感謝しないと)
新年早々マグロを食べられるとは思いもしなかっただけに、いつも以上に豪華な正月になった気がした。
とはいってもまだ夕食があるし、マグロも身も内臓もまだまだ残っている。
「晩御飯どうする?」
私の問いかけに、母親と沼霧さんはうーんと頭を悩ませた。
「私は鉄火丼なんてどうかなと思うんだけど」
「私もそれが良いと思いますね。あとおかずにマグロを焼いたものとか」
「分かったわ。じゃあそれで」
夕食が決まって昼食を食べ終えた後。自室で一息ついていると、あの一つ目の黒猫のあやかしがひょっこりと部屋に入ってきた。
「なに?」
黒猫のあやかしはそのまま畳の上にごろんと横になった。どうやら私には興味は無さそうだ。
「千恵子さーーん」
沼霧さんが私を呼ぶ声がしたので、黒猫のあやかしを置いて一旦彼女の元へ向かう事にした。
沼霧さんが持っていたのは、白い花だ。見た目は芍薬と似ているがちょっと違う気もする。
「それなんだろう」
「あやかしの花です。普通の植物とはちょっと違ってて、妖力の籠もった特別な花ですね」
「成程……」
すると私の部屋にいた筈の黒猫のあやかしが、とことこと歩いてこちらへとやってきた。その花に吸い寄せられるように近づいていく。
沼霧さんがその花で黒猫のあやかしの頭を撫でた。すると花と黒猫のあやかしの身体が一瞬だけ青白い淡い光に包まれる。
「妖力を受け取ったみたいですね」
黒猫のあやかしは目をしゃきっとさせて、また私の部屋へと戻っていった。その足取りは先ほどよりも素早くキレがあった。
「すご……」
「これ、玄関に生けてみましょうかね」
あやかしの花にはあやかしを元気にする力がある。
「むっ……」
赤身のすっとした味わいがふんわりと口の中に広がっていく。生臭さもそこまで感じさせない。
「美味しい」
次に、しょうゆをつけて頂く。しょうゆと赤身の癖のない味が合わさって、相性の良さを感じさせる。
(この赤身、しょうゆに漬けこんで鉄火丼にするのも良いかも)
味噌汁も温かくて、刺し身同様にご飯と合う。
「どれも美味しい……!」
「千恵子さんほんとですか?!」
「うん、どれも美味しい!」
沼霧さんは嬉しそうにぺこぺこと頭を下げながら、刺し身を頂いていく。あやかし達も美味しそうにマグロをつまんでいる。
(光さんには感謝しないと)
新年早々マグロを食べられるとは思いもしなかっただけに、いつも以上に豪華な正月になった気がした。
とはいってもまだ夕食があるし、マグロも身も内臓もまだまだ残っている。
「晩御飯どうする?」
私の問いかけに、母親と沼霧さんはうーんと頭を悩ませた。
「私は鉄火丼なんてどうかなと思うんだけど」
「私もそれが良いと思いますね。あとおかずにマグロを焼いたものとか」
「分かったわ。じゃあそれで」
夕食が決まって昼食を食べ終えた後。自室で一息ついていると、あの一つ目の黒猫のあやかしがひょっこりと部屋に入ってきた。
「なに?」
黒猫のあやかしはそのまま畳の上にごろんと横になった。どうやら私には興味は無さそうだ。
「千恵子さーーん」
沼霧さんが私を呼ぶ声がしたので、黒猫のあやかしを置いて一旦彼女の元へ向かう事にした。
沼霧さんが持っていたのは、白い花だ。見た目は芍薬と似ているがちょっと違う気もする。
「それなんだろう」
「あやかしの花です。普通の植物とはちょっと違ってて、妖力の籠もった特別な花ですね」
「成程……」
すると私の部屋にいた筈の黒猫のあやかしが、とことこと歩いてこちらへとやってきた。その花に吸い寄せられるように近づいていく。
沼霧さんがその花で黒猫のあやかしの頭を撫でた。すると花と黒猫のあやかしの身体が一瞬だけ青白い淡い光に包まれる。
「妖力を受け取ったみたいですね」
黒猫のあやかしは目をしゃきっとさせて、また私の部屋へと戻っていった。その足取りは先ほどよりも素早くキレがあった。
「すご……」
「これ、玄関に生けてみましょうかね」
あやかしの花にはあやかしを元気にする力がある。