……な、なんなの一体……。
私はものすごーくうんざりしていた……。
あーぁ、こんなことになるなら交換するんじゃなかった……。
とも今さらながらとても後悔している……。
けど、交換しなかったらしなかったで、多分……いや、絶対手を離してもらえなかっただろう……。
あの時の判断は決して間違っていなかったと、自分に言い聞かせることで何とか気持ちを落ち着けようとした……。
こんなにも私の気持ちがモヤモヤしているのは……()のせいだ!
初めて会った時から馴れ馴れしく話しかけてきた彼。
名前は知らない……。
病院で偶然にも再会して少しの間とはいえ、お互いに自己紹介はしなかった……。
私としては教える気がなかったから、逆に聞かれなくてホッとした。
そんな彼から携帯電話の番号を交換してからというもの……頻繁に電話やメールが入ってきた。
そのほとんどが……
『元気?』
『ヒマ。何してる?』
『◯◯が楽しかった』……等の他愛のないことばかり……。
まるで恋人にでも送っているかのような内容だな……なんて、彼から送られてきたメールの文面をただ眺めるだけで返信せず、電話にも出ず、ほぼ無視していた。
連絡先を交換したのはあくまでも彼が強引だったから……。
交換しなければいつまでたっても彼が手を離してくれないと思ったし、そのやり取りを周りの人達に見られ、何かしら言われるのが嫌だったから……連絡を取り続けたいわけではない。
むしろ私は叶うことなら、もう人との関わり合いは極力したくないと強く思っているから、彼に対して失礼なことをしていると思いつつ、返信も電話にも出ずにいる。
そうすれば、いずれ彼だって『私のことを失礼な奴だって呆れて』連絡をしてこなくなる……と、思っていたのに……その考えは甘かったようで……どんなに私が無視をしようとも彼からメールや電話が入り続けている。
まさか、こんなにも長い間、連絡が入ってくるなんて思ってもなかった……。
挙句の果てには……会計の計算が終わるまでの間、長椅子に座っている際に
『この街に来て、まだ日が浅いんだ。良かったら、街案内してよ。この街のオススメスポットとか、君のオススメのお店とか……』と、言われたけれど……断ったにも関わらず、メールで何度がお願いを繰り返され、一方的に日時と時間を指定されて強引に合う約束を告げられた……。
行かない……。
何が何でも行かないからっ!
そう、強く心に誓っていたのにーー……。