無情にも│時間《とき》だけが流れていき……彼との連絡が途絶えてから約2ヶ月が過ぎようとしていた……。

私は心配や不安な気持ちを拭い去れぬまま……久しぶりに夕日が沈む頃、海へと出かけた。
服装はいつも通り。
出来るだけ肌の露出を抑えての黒一色。
この時間帯から出かけるのは多分3ヶ月以上……だと、思う。
やっぱり、『外出』と、なれば怖い……。
いくら日が沈み、人通りが少なくなる時間帯に出かけるとはいえ……何があるか分からない……。
誰とも喋らず、海を眺めて帰りたい……。
それは外出の際、いつも思うことだーー……。

海が近づくにつれて……寄せては返す波の音と潮の香り、服の裾をはためかせて通り過ぎていく風は生ぬるく、9月が終わりを告げようとしているにも関わらず、まだまだ残暑が残っていることを意識させた。
波返し護岸(ごがん)を目にした頃……すっかり日が暮れていて、ポツポツと街灯が灯り始めた。
私はいつも海を眺める場所へと歩を進めた。
その時……
歩道から波返し護岸(ごがん)身体(からだ)を預けて海を眺める1人の人物(・・・・・)を目にした途端……私は走り出していたーー……。