「彩葉さま。準備ができました」


彩葉がこくりと頷けば澪は馬車へと歩き出す。

彩葉もついていきながら後ろを振り返る。

(行ってきます)

自分の弱みを見せられる唯一の場所であった自室に別れを告げ、また、前を向いた。



外に出ると、秋穂と春華、そして父がいた。

「おねえさまぁ!粗相をして、主上に処刑されないようにね!」

春華に言われ、ぐっと唇を噛んで舌を向く。

「楽しみだわ、おねえさまが処刑される報告を聞くのがね!」

秋穂も父も何も言わないが内心同意してるに違いない。



「……行って、きます」



一言だけ、言うと彩葉は馬車に乗り込んだ。


✿✿✿