(寵妃って……そんな簡単になれないと思います……)

茉央を否定したいわけではないが、寵妃になれる人など本当に一握りなのだ。

実家の権力も大事だし、本人のやる気、器量も必要。言うなれば夜伽も……。

(私にそんな力ありません)

あったとしても、実家は応援などしてくれないだろう。

「それで、寵妃になったとて守れるまい。」

「いえ、寵妃だと知ると相手は彩葉さまに手を出せなくなります。」

「なるほど……そういう考えがあったか」

陛下は考え込むように顎に手を当てる。

やはり、こんなすぐにうまくいくはずないのだ……。

そう、彩葉が思っていると、陛下はうなずく。

「そうしよう。寵妃になればよいな。これで、オマエたちの願いも叶えられる」

陛下は、微笑む。

「___よろしくな、彩葉。」