そして、迎えた園遊会当日。



「彩葉さま、できましたっ」



そういわれ、閉じていた目を開けてみれば......。


銅鏡の中に映るのは知らない少女だった。


(これが、私なんですね......。茉央さんのお化粧能力はすごいですね)



「ありがとうございます。では、行きましょうか」



立ち上がると茉央もゆっくりと主を立てるように歩き出した。



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「うわぁ、すごい人ですね!」



「茉央さんは園遊会、来たことないんですか?」



「あぁ、あるんですけどね......」



茉央によると、前、園遊会に来たときは裏方でとにかく寒かった覚えしかないとのことだった。



「表立ってこうやって主についていくことは初めてなので、わくわくします!」



茉央は最初あったときに比べると表情も明るくなった。しかも、言動まですこし明るくなった気がする。


(お互いの思いが通じ合ったからかもしれませんね)


少しうれしく思いながら、彩葉が顔を上げて園遊会が開かれている中庭への門をくぐると無数の視線が突き刺さった。


(き、緊張します)



「彩葉さま、力をぬいて」



そう言われて息を吐くと少し、落ち着いた気がした。


歩き出そうとすると、他の妃に話しかけられる。



「もしかして、最近入内された彩葉妃ではありませんか?」



「は、はいっ。彩葉と申します。あ、あの、あなた様は.......」



「わたくし?わたくしは麗華《れいか》と申しますわ。」

「麗華、妃」

つぶやくと彼女はうなずく。

「以後、お見知りおきを」
「は、はい」

思わず、鳥肌が立ってしまったのは麗華から悪意しか感じられなかったからだ。

去っていくとき、彩葉の肩にあたっていったのも証拠である。

茉央もそう思ったのか不快そうに眉をひそめる。

「なんなのかしら」

ぼそっと嫌味をつぶやくところも茉央らしい。

嫌な予感しかしないと彩葉は肩をすくめるのだった。


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