普段、特別娯楽と呼ばれる部類のものに触れてきていない彩葉は、特に不便を感じることがなかったが、どうやら、娯楽が少ないというのは慢性的な問題らしかった。


あまりの娯楽の少なさに、耐えきれなくなって後宮を出ていったり、自殺した者がいると言うことまで聞くほどだった。


話を戻すと、そのストレスを解消する意味でも園遊会と呼ばれるものは、相当大切らしい。



「こちらに彩葉妃も出席してくださると幸いです。きっと、これから慢性的な娯楽不足に苦しむことと思われますので。では、私はこれで失礼いたします」



理央は他の妃のところにもいかなければならないためか、とても忙しそうに慌てて、出ていってしまった。


だが、さらっと最後に釘を刺されるほど、娯楽不足は深刻らしい。



「彩葉さま、園遊会、どうしますか?」



「えっ?どうするもこうするも、でなければならないのではないのですか?」



「いえ、大体の妃は強制......というか、乗り気で参加するのですが、まだ、彩葉さまは来たばっかりですし、慣れないことを理由にして休むことも可能です。多少は陛下も目をつぶってくださるでしょうし」



「そうなんですね......」



確かに、まだ来てすぐということで、後宮に慣れていないというのはある。