「はい。彩葉妃、私は宦官の理央と申します。陛下からの伝達係をしている者です。以後、お見知りおきを」



「はい、理央さん、ですね」



「そうです。では、私は他の妃のところにも回らなくてはならないため、すぐに本題に入らせていただくのですが」



茉央と彩葉が頷くのを見ると、理央は懐から木簡を取り出す。



「新たに後宮入りされた、彩葉妃に招待が来ております」



「招待?なんのでしょう?」



茉央が不思議そうに聞くと理央は木簡(もっかん)を見せてきた。





「___園遊、会?」





ぽつりと彩葉がつぶやくと彼は頷く。



「そうです。園遊会というものが、五月の上旬に開かれます。帝や妃、侍女が集まる会で、基本的には、娯楽の少ない後宮で少しでも楽しんでもらおうという目的で設置されたものです」



「なるほど......」



彩葉も来て日数がほとんどないが、一つだけ、皆が口を揃えて言うことがあった。


後宮(ここ)は娯楽が圧倒的に少ない。