「......いいえ。私は罰など、考えられる身分ではありません」
彩葉がそう言うと、茉央は不思議そうな顔でこちらを見る。なんせ、無礼を働いて、罰はなんでも受けると言っている者に対して、一つも罰を与えないのだ。今まで後宮を生き抜いてきた茉央には不思議で仕方ないだろう。
人によっては、喜んで罰を与えるものさえいたのではないだろうか。
だけど、今、彩葉は罰したいのではなくて、茉央の心の痛みを少しでも軽くさせてあげることが先決だった。
「茉央さん、こんな未熟な私に、話してくれてありがとうございました。つらい思いをしたのは茉央さんです。謝る必要もないし、罰など、もってのほかです。むしろ、気づけなかった私を責めてもらってかまいません」
「彩葉妃......なにを......そんな、責めるなんてするわけないじゃ、ないですか.......」
泣きそうな表情でそう言ってくれる茉央は本当にいい子なのだろう。
彩葉とは違う。彩葉は妹の代わりにきて、今の状況に甘えているだけの姑息な人間だ。
「本当に申し訳ありません」
「もう、この話は終わりにしましょう。朝食をいただきませんか?茉央さんもご一緒に」
「いいのですか?私も同席して......」