「っ.......」
あまりの悲惨な結果に彩葉は息をのむ。そんなことが起きてしまうような場所なのだ、ここは。
まだ、茉央以外の人間にあっていないためか、そのことを忘れていた。今もこの後宮内のどこかでいじめが起きているのだろうか。
「そして、そのあと、私は別のご主人さまのところに移ったのですが、そのご主人さまはターゲットを決めて、他の妃をいじめるような人だったのです.......それから、私、人間が信じられなくなってしまって。特に妃は」
「.......そうだったんですね」
彩葉はすべての謎がとけて、頷く。だから、茉央は彩葉を少し厳しい目で見ていたのだ。
「後宮案内のときは、彩葉妃があまりにも優しい方だったので、信じてしまっていたのですが、今日の朝になって、そういえば、気位が高いかもしれないのに信じてはいけないと思い直しまして.......このような、無礼な態度を.......どんな罰でも受けます。中級妃に当たる方に無礼を働きました」
「い、いえっ!全然、むしろ、つらい思いをしたのは、茉央さんなのに、罰など.......たとえ、どれだけやったことが重くても、私には罰することなどできません」
彩葉が慌てて首をふると、茉央は頭を下げる。
「でも、無礼は無礼です。不快な思いをさせてしまったと思います。本当に申し訳ございません」