(ん......もう朝.......いつもより、長く寝てしまったみたい......)
こうして、ふかふかの臥床で目覚めることなど、前まで考えることさえできなかった。
そんなことをぼーっと思っていると、すぐに扉を控えめにノックする音が聞こえた。
「彩葉妃、起きていらっしゃいますか。茉央です」
「茉央さんですか?起きています」
そういうと茉央はゆっくりと戸を開けて、入ってきた。
なんだか、彩葉を見る目が少しだけ、鋭いのは気のせいだろうか。昨日はそんなことはなかった気がするのだが。
「彩葉妃、おはようございます。湯浴みはされますか?それとも、先にお食事にされますか?」
「湯浴みは、そうですね……大丈夫です。先に食事をお願いしてもいいですか」
「そうですか。では、私は朝食の用意をしてきますね」
茉央は最後まで硬い口調で締めくくった。
茉央が最後まで出ていくのを待って、彩葉は控えめにため息をつく。
(本当に後宮に来てしまったのですね)
いつも、自分が朝食の用意をしたり、湯浴みの用意をしたりする側だったため、不思議な感覚だ。