「れ、レレレ……」
「レレレ?」

「零華がみ、認めるミミミ」
「ミミミ?」
「……ドルブロッカー、開三咲そして川瀬唯一!」
「ドルブロッカー?」

「クイックの天才、開……カイカイ」
「カイカイ?」
「カイカイ三咲は、勝つ前に卒業してしてしまった……その双璧を成す、か、かかか河、皮、革川瀬」
「してして? かわかわせ?」

 敵意むき出しの11番ミドルブロッカー、一十美。緊張か興奮か……『川瀬』は一度言えたのに、日本語は難しい……。

「今日この場であんたを倒してナ、ナナ……ンバー1ミ・ドルブロッカーの称号は……」

 隣で聞いてるだけで何か疲れる会話……早く笛鳴らないかしら?

「私の私の私のモノとなる!」
「三咲先輩がすごいミドルブロッカーなのは認めるけど、私はそんなすごいブロッカーじゃあ、ない」

 あなたのモノだよ……何かそう言ってあげたくなりました。

「フ、フン、騙されないよ。あんたたたたち二人は、天才セッターと言われた多彩なセットアップを早くから体感することで……」

 後半、あんまりトチらず言えて、喜びながら話す表情が面白すぎる。

「あんたたたたちは、攻撃の可能性の選択肢とアイデアを高いレベルで知っている。そしてどこに上げるか分からないトスへの反応への慣れも」

 後半スラスラ? 話せたことを得て、言い終わってのガッツポーズに声を出して笑ってしまった。



 リードブロックはトスを見てからブロックに飛ぶ。しかしアタッカーを確認してからブロックするのでは、やはり遅い。『トスを見てから』といえど、予想はする。動き出すアタッカーたちを見て、誰がこの攻撃に参加しているかを絞る。その中からどこにトスが飛ぶかを見るのである。
 そしてそれは『認知・判断・行動』によって成される。何かミスがあったのなら、そのいずれかがエラーを起こしている。もっと言えば、認知が間違えれば判断を誤る。判断を誤れば行動を間違う。
 人は『経験』を得ることで、これらに『予測』という『認知』より一つ早い段階の用意ができる。三咲はこの準備から成る予測がゲスブロックを生んでいる。
 ミドルブロッカーは高さとスピード、そして判断力が求められるポジションだ。唯一はこの『判断力が』優れている。それは三咲の『予測』同様『経験』からくる『情報量』から成る。小さな情報を集めることで、状況判断を的確にする。



 この初っ端からトリックプレーには驚いた。王者が、『世代最高』と呼ばれるエースを擁しておきながら、その最強の矛を使わず奇襲で返してきた。まだその余力を残している、というプレッシャー。